私たちはからだを媒体として
世間や娑婆と触れ合っている。
建築の哲学と歴史を授けた師は
「手思足考」という陶芸家河井寛次郎の言葉を好んだ。
現場で飲み交わす左官や大工は、
名人ほどそのうち唱い踊り出す。
だから建築現場はダンスの舞台と近似する。
坂本やモノクロームのダンサーの
しなやかさに空間を省察する力が感じられるとき
観客席で私は嫉妬する。
ダンサーを眩しく見つめ背筋を伸ばし
おのが手足の自由さを確かめなければ気がおけない。

藤原惠洋
(建築史家・九州大学大学院芸術工学研究院教授)


モノクロームサーカスの表現は、
追憶の旅に似ている。
ダンスという領域にとどまりながら、
身体とそれを取り巻く環境、場や時間の可能性、
あらゆるものとの接触を続けようとすることで、
いつか出会った夕暮れの光、梅雨時期の湿度や
遠くから聞こえる町の音を感じながら、
いつも私はどこかの風景を思いだす。

山出淳也
(BEPPU PROJECT)