TROPE掲載情報
今月の使用者:Monochrome Circus
制作室使用期間:2010年10月1日-12月27日
新作『TROPE』を準備中のモノクロームサーカス。家具づくりを起点に、照明、スペースなど多岐にわたって暮らしのデザインを行うクリエイティブユニットgrafとの共同作業となります。主宰の坂本公成さんにgrafとの関わり、新作のコンセプトについて聞きました。
―モノクロームサーカスとgrafの考え方に共通する点は何ですか?
僕らは、身体をどこかの空間にはめ込んでいくことを考えています。人の身体には必ずストラクチャーがあります。つまり普遍的といってもいい骨格と筋肉、そして姿勢によっての強弱や個体差です。これは家具や建築物、あるいは自然の中の木などあらゆるものに求めることができます。僕らは身体を使って空間のストラクチャーが持つ潜在的な可能性を引き出そうとしてきました。一方のgrafは、家具に少しの余白を作りこみます。その余白が、お茶を飲む、人と話すなどの日常的な行為にちょっとした「ずれ」を持ちこむ。このずれによって人が何か新しいことを発見したり、クリエイティビティを発揮する場が用意されます。
僕らが面白みを感じるのも、椅子を椅子として使うのではなく、椅子に対する身体の常識的なアプローチから少しずつずらすことによって、家具のもつ意味そのものをずらしていくということです。例えば机なら、机の上に2人の人間がいるというあり得ない状況を生み出すことで、まるで机でないように感じさせていく。モノや空間を使う時に「ずれ」を用いる。この観点が両者の合致するポイントですね。
―新作でのgrafとの関わり方はどのようなものになりますか?
今年9月の瀬戸内国際芸術祭2010『直島劇場』では、grafにコンセプトからビジュアル・プロダクツ全般に携わってもらいました。現地での会場探し、民家を舞台に改装するなどかなり濃い共同作業になりました。今回は「問答」のような形をとりたいと思っています。「コラボレーション」というと、到達するビジョンに向かって世界観を一緒に組み立てていくという感覚ですが、それは前回の直島でやったこと。今回は、直島以降に生まれた疑問やアイディアを、それぞれのプロフェッションの部分での関心事は保ったまま、キャッチボールをしながら進め、舞台ではそのプロセスを断片的に見せていければと考えています。僕らが空間に対するアプローチをダンス作品にして、すでにあちらに投げていますが、その返答として今届いているのが「新しい家具」です。
―「家具と身体の問答」というテーマについて聞かせてください。
今回grafが新たに作る家具について少しいうなら、機能と余白が8対2だったものを、50%の余白で作るというもの。つまり、その家具は使い方が明示されず、使う人自身がそれを考えていきます。有用性を取っ払い、人がそれと向き合った時に「なんだこれは?」と立ち止まって考えさせるような家具になると思います。
この発想は、人間とモノの関係の起源につながっていくのかもしれません。例えば、フックの起源はきっと木の枝だったはずだと考えられるように、現在一般的になっているツールのいくつかは、古代にまで遡り人がプリミティブな状態で使っていたモノに行き着きます。今回の公演では、人間が石とか木の枝といったプリミティブなモノと出会って、ある行為を「ひらめいた!」という時の気分や身体感覚をもう一度味わい直すような体験ができるのではないかと思います。そこにダンスをする側からの面白みを感じています。
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